『谷中暮色』を観に


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『谷中暮色』(オフィシャルサイト)

現在住んでいるエリア周辺が舞台という興味から、映画『谷中暮色』を観てきました。

ターゲット層が中高年なのか (英語字幕入りだったので、外人さんニーズもあるのかも) 11:10~の1回のみっていう謎の時間帯で、27(金)までの上映。これは見逃すとDVDとかで観られないかもしれないと思い、今朝まで徹夜で原稿書いたまま、観に行ってきました。 学生や社会人が来れる時間帯ではないので、私以外の客席はほとんどおじいさんでした。

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映画は、昭和32年に不倫の男女が無理心中のため 焼身自殺したときに焼失してしまった 谷中の五重塔の話がメインになっています。 その火事のときのフィルムをだれか持っていないか 谷中フィルム協会に所属する主人公が探して歩くというものです(おそらく映画保存協会がモデル)。

そうしたドラマに、地元の人々への取材映像などのドキュメンタリーが挿入されるという珍しい構成でした。

まず映像に関しては、谷中霊園やよみせ通り、千駄木駅前のゲーセンなどなど、普段暮らしている場所がたくさん映っていて、地元ネタとして楽しかったです。谷中霊園に五重塔が昔あったことはこの映画で知りました。

五重塔や谷中に関する地元の方々への取材などで構成されたドキュメンタリー部分は本当に良かったです。

特に盲目の墓守の80歳の女性が、「え! 目が見えているのでは?」 と思うくらい、的確な動きでお寺やらお墓を掃除している様子を映しているシーンは秀逸。もともと手際のいい人の作業を眺めるのが大好きな私は、かなり惹き付けられました!

ドラマ部分は主人公が出てくる現代の話(恋愛要素あり)と幸田露伴著の「五重塔」をベースとした時代劇シーンでした。これに関しては、ないほうがよかったのでは、、、と思ってしまったのが正直な感想です。

あと、ネタバレになってしまいますが、燃えている五重塔をいまの谷中の風景に合成してしまうのもとても違和感を感じてしまいました。

地元の住人の中で唯一ドラマパートの出演者となった郷土史家の車いすのおじいさん、加藤さんの演技はとても自然で、それまでの人生の重みや味も出ていてものすごく良かったですが。

あと、物語終盤で見つかった五重塔が焼けるシーンの本物のフィルムは本当に神々しくて、それで前述のマイナス要素を全部カバーして有り余るくらいの感動でした。陶芸の窯とか見ていてもいつも思うのですが、火や炎って、神がかった魅力があると思うのです。 なんでも、撮影を進めていくなかで五重塔が燃えているときの本物のフィルムが見つかって、映画の方向性が大きく変わったそうです。

なんだかんだ、谷中の風景を見ているだけで楽しいという気持ちではあったのですが、気づくと、観客の8割方が寝息をたてて寝ていました。おじいさんたちは、どういう映画を期待して見にきていたのでしょう。

現在でも谷中の五重塔を復元しようという活動をされている方々がいるそうですが、確かにあの建物が今も残っていて、いつも視界に入る生活をしていたら、素敵だったろうなと思ました。

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