とりほん:つげ義春「鳥師」


鳥が登場する本「とりほん」の紹介です。

前回に続きまたまた、つげマンガです。

今度はタイトル通り、かなり鳥がメインになった話「鳥師」です(「無能の人・日の戯れ」に収録)。


「無能の人・日の戯れ」

舞台は人通りの少ない露地裏にあるさびれた小鳥屋。
その店は和鳥の専門店で、インコなど舶来のペットが流行っているご時世ゆえまったく繁盛してませんでした。
そこの店の主人が、ある常連客に語った話です。

20年程前、 主人はまるで鳥のような風貌、身のこなしの男を見かけました。
数日後、その男が主人の店に目白を売りに来ました。
男はプロの鳥師(鳥を捕まえて売る人)だったのです。
目白は素晴らしい逸品で、和鳥マニアに高値で売れました。
その後も鳥師はウグイスやヒバリなどを売りに来ましたが、やはりどれも素晴らしい鳥ばかりでした。

それから3ヵ月ほど経った雨ばかり降り続いている日、鳥師はひどく弱ってやってきました。
ひどい熱なので主人は家にあがるように薦めましたが、鳥師はいうことを聞きません。
そして白サギを売りに来たというです。
しかし主人は大鳥は扱ったことがないので、今までの恩も忘れて断ってしまいました。

それから4~5日後、主人は水門の上にうずくまっている鳥師を見かけました。
その姿は、やはり主人には鳥のように見えたのです。
そして「これは飛ぶぞ」と思った主人が「とべ、とべ、飛ぶんだぁ」と叫んだ瞬間、鳥師は空へ飛び立ちました。
主人は胸が熱くなり涙がこぼれたそうです。

と、普通のお話なら「あの鳥師は鳥の生まれ変わりだったんじゃないか」みたいな昔話チックに終わるのですが、そこはつげマンガ!
その後弱った身体で水門から飛び下りた鳥師の遺体はちゃんと発見されてました。

でも、私もやっぱり主人と同じく、この鳥師は飛んだと思います。

そして、きっと私も飛べるような気がしてきたのですが、その話を聞いた小鳥屋の常連客がやはり水門から飛び下りようとして、結局迎えに来た子供の声で我に返り飛び損なったのでした。
きっと私が飛ぼうとしても、常連客と同じように飛び損なってたことでしょう。




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